講座抄録
救命医療の発達により、かつては致命的であった疾患や状態から命は救われる人の数は増加していますが、日常生活のための機能も改善し、社会復帰・参加できる人はいまだ少ないのが現状です。摂食嚥下障害は、社会参加を妨げる障害の一つであり、近年「口から食べること」への支援が、病院、施設、在宅にかかわらず強く求められるようになってきています。
それは、従来の臨床現場で、疾患治療後の急性期に呼吸路を守り栄養を支援できるとの考えで採用されてきた非経口的な栄養法が、長期的には栄養障害による低栄養からサルコペニアを介して低活動性を招いて日常生活が障害され、低活動性が食欲を低下させることでさらに低栄養となる悪循環(フレイルティサイクル)の原因となることが明らかになったことにあります。そのため、経口摂取の重要性があらためて認識されるようになりましたが、経口摂取機能を適切に支援できていないのが現状です。
一方、摂食嚥下障害に関する成書の多くが、「病院の外来」で「コミュニケーションが可能な」方々への経験則的な手技の紹介にとどまり、生理学的根拠に基づいた対応について解説したものは少なく、一部には「誤魔化した」記載もあります。摂食咀嚼嚥下障害を有しているのは、「来院できず」「コミュニケーションが困難」で「指示に従えない」、多様な生活環境で暮らされる方々です。理論の裏付けのない方法で対応するのは、むしろ誤嚥リスクを高める可能性もあります。そのためには、病態、障害、生活場面に関わらず基本的に共通した生理学に基づいた考え方が必要です。
本講演では、経口摂取を支援する上で必要な共通する概念を、1)呼吸路の安全性の確保、2)口腔咽頭機能の賦活、3)食事の調整を3つのキーフレーズにして解説します。理論なき実践は暴力であり、実践なき理論は無力です。
第1部 経口摂取の意義とリスク
- なぜ口から食べないといけないのか?なぜ口から食べることは怖ろしいのか
サルコペニアの改善には経口摂取して消化管運動を促し、栄養吸収率を高めることが必要ですが、QOLの改善という考えだけで介入すると窒息や肺炎のリスクが高まります。
- なぜ4足歩行の動物や生後直後の子供は誤嚥せず、成人では誤嚥するのか
軟口蓋を含む咽頭近傍の解剖学的特徴や器官発達を考慮することは誤嚥防止の対策に重要です。
第2部 摂食咀嚼嚥下機能の発達と調節
- 乳児・小児に学ぶ口腔咽頭機能の賦活と食事調整の考え方
乳児から小児での口腔容積、原始反射、舌運動を知ることで適切な食事調整の考え方を学べます。
- 成熟型の1回嚥下動作の複雑さを知って介入プログラムを考える
成人での摂食咀嚼嚥下機能に関わる器官運動の調節の様相を知らなければ対応はできません。
このように、多くの方から高評価を得ている内容となっています。
お申込みから参加まで
《会場参加の方》
1.参加票のお届け
銀行振込の方は、ご請求書・参加票・会場案内をお送りいたしますので、期限までに指定口座へ参加費をお振込みください。クレジットカード払いの方は、お客様の決済確認後に参加票・会場案内をお送りいたします。
2.参加当日
参加票は受付の際に必要になります。忘れずにお持ちください。当講座・セミナー・研修会の撮影・録音は、個人の使用目的も含め、固くお断りしております。
《オンライン受講の方》
1.認定講座のオンライン・ライブとは
日本訪問歯科協会の認定講座をインターネット経由でリアルタイムに受講できるものです。インターネット環境があれば、受講する場所を選びません。パソコンやタブレットPC、画面が小さくはなりますが、スマホでも受講可能です。
2.講義中に質問できる
オンライン・ライブでの受講ですので、講義中に疑問に思ったことやわからなかったことを講師へすぐに質問できます。オンライン・ライブ専用の質問フォームにご入力ください。講義の後半にまとめて回答されます。
3.時間が合わなかったときのためのリプレイ(再放送)
認定講座は、別の日に同じ講義内容を2回、リプレイ(再放送)します。リプレイ(再放送)は、認定講座開催の翌週の日曜日と翌々週の日曜日、2回にわたりおこないます。いずれも9:00〜21:00の間に視聴できます。
4.講座のテキストは事前にお届け
認定講座のテキストは、講座開始の前日までにお届けします。受講前にざっと目を通しておくと、知りたいところをチェックでき、学習効果が高まります。
5.認定申請に必要な研修ポイントが付与されます
認定講座を受講された方には、認定医、認定訪問歯科衛生士の認定申請に必要な研修ポイントが付与されます。オンライン・ライブでの受講者も同様です。
6.実際に受講するには
決済確認後、特別なご案内をお送りいたします。オンライン・ライブに参加するためのURLとユーザー名、パスワードなどオンライン・ライブ受講に必要な情報が記載されています。テキストは、講座開催日の前にお届けいたします。認定講座の開始時刻前に、ログインをして受講開始です。
キャンセルについて
お申し込み後に、やむを得ない理由によりキャンセルされる場合は事務局までご連絡ください。
キャンセルされる場合は、以下のキャンセル料が発生いたしますので、申し込み前に必ずご確認ください。
キャンセルのご連絡はこちらから>>
1.キャンセル料
- 前日のキャンセルまたは当日の不参加:参加費の100%
- 開催日の前日より8日目にあたる日以降のキャンセル:参加費の50%
- 開催日の前日より15日目にあたる日以降のキャンセル:参加費の30%
- 開催日の前日より16日目にあたる日以前のキャンセル:無料
2.返金方法について
キャンセルのご連絡後、事務局より返金確認書をお送りいたしますので、署名、捺印のうえ、返金の指定口座をご記入してご返送ください。
上記キャンセル料を差し引いた金額をご指定の口座へお振り込みいたします。返金時の振込手数料はお客さまのご負担とさせていただきます。ご了承ください。
Y・A (承認) –
色々理解してきたことに対してその理由(理)がわかってよかったです
I・A (承認) –
幼児の特徴、機能とひかくしながらのお話がとてもわかりやすく役に立った。
T・T (承認) –
0乳幼児と高齢者の咀嚼嚥下についての説明が解りやすかったです。舌のリハビリをケア時にもっと行っていかないと思いました。
F・M (承認) –
姿勢が大事だというセミナーでよく聞いていたが、実際どういうふうにというのはなかったので理解できた。
N・S (承認) –
私達が口腔ケアをする時、「誤嚥性肺炎を起こすから姿勢は大事
F・M (承認) –
前職場を退職した後にたまたま訪問診療のための勉強をしようと思い手にとったのが先生の本でした。自分の中にずっとあった漠然とした疑問がするすると解けていくと同時に「何故か」を常に考えることの大切さを教えていただいたように感じています。ありがとうございました。
M・T (承認) –
上顎義歯装着の必要性は、指導説明の参考にさせていただきます。全ての内容が興味深く、楽しい講座でした。本日はありがとうございました。
K・M (承認) –
誤嚥性肺炎の原因に、それほどにもプラークが関与しているのかと改めて驚いた。微熱がある時も口腔ケアはした方が良いという事にも知らなかった。
I・N (承認) –
とろみは唾液の成分アミラーゼで分解されてしまうというのは、衝撃的でした。
先生の講話が、最初から最後まで楽しく見てきくことができあっと言う間でした。
M・M (承認) –
頬ずりをすることで反射刺激が少なくなるということで、我が子も指しゃぶりをするので頬ずりでやめれるといいなぁと思います。寝たきりのケアに入っていますがやっぱり姿勢が大事なことに改めて感じました。
M・F (承認) –
第一部、離乳食を参考とした、機能評価の方法、時期に行うべき関節訓練方法が具体的に説明されており、大変参考になりました。舌訓練は実施していましたが、口蓋帆張筋のストレッチは全く行っていなかったので、ぜひ取り入れていきたいと思います。
O・Y (承認) –
講師の先生のお話が面白く、あっという間の3時間でした。
ヨード製剤の話はすぐに診療所で話しました。
味覚の話も興味深かったです。
Y・K (承認) –
ボタン引っ張り試験のまちがった評価
O・M (承認) –
離乳期の食物摂取機能の発達過程が高齢者の食物摂取機能訓練の参考になることがわかった。
O・M (承認) –
ベッド上での食介助の方法が理解できた
M・S (承認) –
小児期の食物摂取機能の発達過程が参考になった。
H・S (承認) –
最初から3つのフレーズに関連付け非常に整理しやすくわかりやすかった。
T・A (承認) –
誤嚥防止姿勢や食形態の重要性について、確認できました。誤嚥防止姿勢の3点など基本的なところから現場でしっかりできるようにしておきたいと思います。