講師からのメッセージ
講座抄録
本邦では長く取り組んできた8020運動も功を奏し、高齢者の現在歯数は増加を示し目標達成者は5割を超えるとの報告もある。しかし、依然口腔機能を低下した者の数は増え続けている。その増加は人口の高齢化に伴う身体機能障害、認知機能障害を有する者の増加と無縁ではない。
口腔機能は、咬合支持の存在だけでなく、口腔の運動機能にも大きな影響を受ける。舌の運動機能をはじめとする口腔機能は加齢により低下する。さらに、加齢と伴にその発症率を増加させる脳血管疾患の後遺症や神経変性疾患等によっても口腔機能は障害される。つまり、歯の喪失による咀嚼障害(器質性咀嚼障害)を有する者の数は、減じても口腔機能の低下による咀嚼障害(運動障害性咀嚼障害)を有する者は増加していると考える。
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子氏が行った全国高齢者20年の追跡調査からわかった高齢者の自立度の変化パターン(男性)によると、約7割の高齢者が75歳を境に徐々に自立度を低下させ、10年ほどかけてほぼ全ての介助が必要となることが示されている。まさにフレイルという状態から要介護状態に至る課程を示していると言える。
ここでみられる自立度の低下の原因となる身体機能の低下や認知機能の低下は、口腔機能の低下の原因にも結果にもなりうる。この課程の中でも特に比較的早期にみられる口腔機能の低下は、より重症な摂食機能障害に対して回復可能な余地を大いに残す領域と考えられ、地域歯科診療所に通院期間中に起こる変化であるとも言える。よって、歯科診療所において早期からのそして合理的な介入が求められる。
本講演では、「オーラルフレイルの診かた―口腔機能低下症に対する歯科の役割―」と題し概念整理を試みたい。
全国4カ所のサテライト会場でも受講可能です
日本訪問歯科協会の認定講座は、Ustreamで全国5か所の会場へライブ配信をしています。
メイン会場は東京。名古屋、大阪、広島、福岡にサテライト会場を設け、動画・音声配信システムを使っておこないます。サテライト会場では、回線を通じてメイン会場をスクリーンに映し出します。
メイン会場は複数のカメラで撮影し、プロジェクターに映すものと、講師を映すものを専門のスイッチャ―が切替するので、ただ単に講師とスライドがスクリーンに映っているという退屈なものにはなりません。音声もクリアです。
つまり、東京と同じ環境を全国のサテライト会場でも実現できるわけです。
K. Y. –
入室時のチェックポイント、歩行状態の観察が大切な事がよく分かりました。当院ではチェアにすわるまで全てスタッフが誘導し歯科医師は口の中しか見ていなかったような気がします。スタッフにも気をつけてもらうようお願いしたいと思います。
金丸 貴浩 –
大変勉強になりました。デンチャーを作らない方がいい基準、認知症を発見するフレイルなど。
N. T. –
今勤務しているクリニックでフレイル対策に力をいれていこうという試みがスタートしているのでとても興味深く参考になる話がありよかったです。
Y. K. –
舌苔着が舌の運動低下の可能性や年のせいで治らないとはっきりと伝える事(大事というお話。)
N. I. –
日々の診療の中で認知機能の低下に抗っていました。先生の本日の講義を拝聴し、少し目線を変えた診療が出来そうです。有難うございました。
M. I. –
認知症と歯科治療の関係性とてもよくわかりやすかった。食形状についてもよくわかって役立てたい。
Y. K. –
大変有意義なご講演有難うございました。今後共宜しくお願い申し上げます。
M. S. –
歯科医師としてどこまでやるべきか、やらない判断も必要ということがわかりました。
T. N. –
義歯いらない宣言
S. O. –
現在認知症の方の訪問診療を行っているので、よく栄養士の方に食事観察を依頼されるので、よく理解できてなかった部分がわかりました。
H. N. –
治ゆしないという判断基準、診断の重要性を改めて痛感しました。Q&Aが興味深かったです。認知症に対する接し方。
J. K. –
少し話の中で周辺的な内容が余分に感じた。最初の70分音声が小さく眠くなった。少し冷房がさむかった
K. K. –
何でも治せると考えるのではなく、治せない運動障害も起こってくるので、その人の嚥下機能、咀嚼機能に合った食べ方(食形態)を工夫することで食べられるようになり、全身状態も改善することがよく分かりました。70歳を過ぎた方には単に歯を残すだけでなく、いずれ抜歯が必要となる所は抜歯をすすめるようにしています。訪問歯科を行うようになり、積極的に患者さんに話せるようになりました。先生のお考えも同様でしたので、明日からの診療も信念を持って行えます。認知症の人の義歯の扱いに気をつけなければならないなと痛感
安田 義信 –
①初診時(主訴によるが)いつもの食生活を観察すること②認知症になったら(診断されたら)まず歯科医に
奥田 裕久 –
身体にマヒがある人は口腔でも■■にマヒがあること、運動障害性の咀嚼障害の人には食形態の提案をすることがこれから必要であること。
H. K. –
”咀嚼は舌の機能に依存している”、”咀嚼が悪いと嚥下に負担をかける”等、印象に残る話を多く認め有意義でした。食形態のアドバイスができる歯科医師を目指したいと思います。
N. N. –
食形態を歯科医がしっかり指示しなければならないこと。義歯使用の可否の判断。舌圧の重要性
M. K. –
訪問歯科初心者なのですが、先生が分かりやすく話を進めていただき、大変理解しやすかったです。有難うございました。
正畠 昌幸 –
実際に現場に行かれている菊谷先生の話でよくわかった
H. Y. –
食支援の内容は非常に興味深かった。店にも一度見学に行きたいくらいだ。又義歯の不要宣言については考えさせられる。はっとした気分になった。
宮井 久敬 –
一度別のセミナーでもお話を聞いたことがあったが、再度義歯の適応等が再確認できた。
下島 要 –
介護(寝たきり)の一歩手前の大事さを聞くことはなかったので、参考になりました。「治らないことを説明する」との言葉は印象に残りました。
M. O. –
食形態の決定の重要性がわかった。病態に応じた治療方針の重要性がわかった。
A. K. –
義歯不要論、食形態の考え方
T. S. –
フレイル、■■■対応
Y. S. –
訪問診療における実践的なお話を聞くことができてとても有意義なセミナーでした。
Y. B. –
認知症の患者さんに対して入れ歯をただ作るのではなく、食形態を考慮し、作った後に使用するのか、作ることに意味があるのかを教え、必要ないと思ったら、家族に対して説明することは今後に対して、とても参考になりました。
T. S. –
普段から訪問診療を行う中で、義歯の作製を行った方がいいのか否かを考えることは良くあります。(他の歯科行為も含めて)その場合は、認知症や治療協力度、口腔管理能力など考慮して提言してますが、本人の咀嚼機能を含めたオーラルフレイルの状態に応じて検討するのは改めて重要な検討事項だと考えました。
Y. I. –
とてもわかりやすく、勉強になりました。
S. M. –
全額の負担が生ずるが現場で■■にどういう風に介入説明(動機付け)すれば良いか。オーラルフレイルの意味とそれがどう言うふうに身体症状として現れるか参考になった。
S. O. –
義歯の使用を控えることを歯科医が教えてあげることの重要性が印象に残りました。
T. S. –
診療室での対応から訪問先での診断まで対応を広くお話して頂けたので大変良い時間を過ごさせていただきました。
T. M. –
認知症の患者へのレベルに応じた対応などの話は理にかなっていて勉強になった。
K. S. –
負の面を認識できた70Yぐらいなったら介護の面でもFDの方がいいのが確信した。
H. M. –
原点にもどり科学的に対処しようと思いました。
藤縄 弘之 –
患者様の状態にあった食形態を考えることが重要であることが良く理解できました。
H. S. –
一方的に悪化が予想できる運動機能低下で口腔機能低下が見られる時には食べ方を工夫する。外来での先を見越した診療
Y. O. –
患者さんに対する治療効果の限界を考えながら診療にあたる事の大切さ
大西 比呂支 –
義歯の作製適応、不適応、義歯の不要の判断食形態の提案
I. H. –
症状、状態にあった食形態の提案、義歯の装着不要の段階の話
Y. K. –
とてもわかりやすいご講演ありがとうございました。エビデンスに基づいた診療や訓練(やるべきかやらないべきか)のお話とてもためになりました。
Y. S. –
何度お聴きしても明日への活力のでる御講演でした。
永井 敏 –
患者が要介護状態になる前に診療室でやるべきことが理解できました。ありがとうございました。
T. N. –
オーラルフレイルの概念がよく分かりました。口腔機能と食形態の関係も大変参考になりました。
I. N. –
あたりまえの事なのですが、そのステップに対する処置治療、将来を見据えた対応が必要であるという事に共感しました。ペースト食なのに補綴とか良く見かけます。本当に何も考えてないですよね。