講師からのメッセージ
講座抄録
超高齢社会の進展に伴い、口腔管理ができない高齢者が増加し、口腔機能も低下してくるため、誤嚥性肺炎や低栄養などの全身疾患の発症や全身状態に影響を及ぼすことが問題となっています。全身疾患の予防のみならず、口から美味しく食事を摂るというQOLの視点から、高齢者の口腔機能の維持・向上は重要です。高齢者の口腔ケアは、単に口腔衛生の手段ではなく、全身状態の改善や全身疾患の予防に向けた医療の一環として位置づけて、歯科衛生士が主体となって多職種連携の中で普及させていくことが求められています。
口腔ケアを行っている病院、施設、在宅では、その方法や使用する道具は様々です。咳反射・嚥下反射が低下している患者さんに通常の水を使用して口腔内を洗浄する口腔ケアを施すことは、誤嚥の危険を伴います。口腔内細菌が口腔ケアによって気管や肺に入り込むことにつながり、医原性に誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が指摘されています。そこで、誤嚥性肺炎の危険性のある患者さんでは、水を使わずに口腔ケアを行う方法を検討する必要があると考えます。『水を使わない口腔ケア』では、口腔内に水を用いずに、粘性のあるジェルを使用してケアすることで、咽頭への流れ込みを防ぎ、誤嚥リスクを低下させます。私たちは口腔ケア専用のジェルとして「お口を洗うジェル」を新規に開発し、現在口腔ケア用ジェルと吸引嘴管を用いた『水を使わない口腔ケア』を臨床にて実施し普及活動を行っています。
本講演では超高齢社会における歯科医療の方向性、口腔ケアの必要性から始まり、口腔ケア中の誤嚥事故を予防する『水を使わない口腔ケア』を中心に、口腔ケアの手技について最新の内容をまとめ、新たに伝えたい考え方や技術をお話しする予定です。
本講演が日々在宅医療の現場でご活躍されている皆さまのお役に立てば幸いです。
全国4カ所のサテライト会場でも受講可能です
日本訪問歯科協会の認定講座は、Ustreamで全国5か所の会場へライブ配信をしています。
メイン会場は東京。名古屋、大阪、広島、福岡にサテライト会場を設け、動画・音声配信システムを使っておこないます。サテライト会場では、回線を通じてメイン会場をスクリーンに映し出します。
メイン会場は複数のカメラで撮影し、プロジェクターに映すものと、講師を映すものを専門のスイッチャ―が切替するので、ただ単に講師とスライドがスクリーンに映っているという退屈なものにはなりません。音声もクリアです。
つまり、東京と同じ環境を全国のサテライト会場でも実現できるわけです。
I. N. –
お口を洗うジェル発売当初より使用させていただいております。吸引しながらジェルを使用していますが、適量というのはあるのでしょうか?もちろん最終的には清拭はしていますが、途中での誤嚥も考えられます。
Y. S. –
医院として、衛生士の確保が困難なので、どうしたらいいか
A. T. –
QOLの向上がいかに重要であるかがよくわかりました。お口を洗うジェルも使用したことがありますが、使い方を全然わかっていませんでした。今回の先生のお話で在宅での口腔ケアを見直したく思いました。口角鉤吸引も全然やっていなかったです。化粧療法もとても興味深く、セラピストセミナーにも関心をもちました。口腔ケアを通しての衛生士としての役割を実感し院内での仕事から外への広がりを感じ、勉強したく思いました。
I. S. –
お口を洗うジェルと化粧・整容療法についてです。お口を洗うジェルは実際に使用しているので今回使用方法などくわしく知ることができ、とてもためになりました。
Y. K. –
スライドだけではなく、所々動画もあって内容が把握しやすく、分かりやすかったです。本日習った口腔ケアの内容を少しずつでも実践していきたいと思います。
K. I. –
口腔ケアへ行っていると口腔乾燥がひどい患者さんがいらっしゃり、お口が開けられない方もたくさんいらっしゃいました。ケアの時間も限られており、保湿後の乾燥痰をそのまま残してしまうこともありました。今後はケアの改善し自分の意識も改めていこうと思いました。
T. F. –
化粧・整容療法
S. O. –
現在の日本の4大疾病+認知症の発病抑制や進行抑制などに口腔ケアや歯科界の貢献している事がはげみになり、DHとして責任を感じました。
K. Y. –
私達の訪問診療の中でドクターのすすめによりお口を洗うジェルを使用していましたが吸引をしながらの意味がよくわかっていませんでした。今日の講座でより使用するにあたり納得し今後のケアに使用していきたいと思いました。他の保湿材との比較もよかったです。
A. Y. –
吸引器のメーカーなど具体的に聞きたかった
H. K. –
口腔ケアの必要性が良くわかり、有意義でした。吸引器や吸引嘴管の導入など、困難な状況ですが、水を使わない口腔ケアシステムの導入に努力したいと思います。