口腔状態を概略評価して報告する歯科衛生士がやっていることは?
訪問診療に携わる歯科衛生士は、要介護高齢患者の口腔ケアだけではなく、患者のさまざまな状態を評価して、歯科医師や医師などに報告することが求められます。
口腔の評価手法にはEilers Oral Assessment Guide(OAG)やOHAT-Jなどがあり、これらは他職種も活用しているため多職種連携に有用ですが、これらは部位別にスコアを付けて評価する方法になっているため、ともすれば、評価ツールにない部分の異常を見逃してしまう恐れがあります。
では、口腔の異常を見逃さないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
口腔観察所見をカテゴリーに分類する
口腔を観察するとさまざまな異常が確認されますが、それらを「汚れ」「疾病」「機能」および「その他」の4つに分類します。
「汚れ」は食物残渣や喀痰、剥離上皮膜などで、まさに口腔ケアの対象となるものです。「疾病」は、う蝕、歯周炎、義歯の不適合などです。
咀嚼や嚥下の「機能」は直接観察できないかもしれませんが、「汚れ」や「疾病」との関係で機能低下が疑われます。口の動きや唾液嚥下の状況などによって推測できることもあるでしょう。口臭は人によって感じ方が違いますし、疼痛は患者の訴えなので「その他」に分類します。
このように分類して観察することで、異常をもれなく評価することができます。
まずは口腔ケアで「汚れ」を除去する
「汚れ」が著しい場合には、「汚れ」によって「疾病」が見えにくくなっていることがあります。このため、まずは「汚れ」を除去することが重要です。
「汚れ」の除去は、歯科衛生士が得意とするところなので問題ありません。
重要なのは、「汚れ」を除去した後に、病的観察所見を評価して、治療的要素を見つけ出し、疾病の状況を歯科医師がイメージしやすいように伝えることです。
この情報があれば、疾病が悪化する前に歯科医師が対応することができます。
所見別評価シートを活用する
評価漏れを無くすために、「汚れ」「疾病」「機能」および「その他」によくある状況をチェックするための評価シートを活用するのがお勧めです。
また、評価シートがあれば帰院後の歯科医師への報告で漏れることもありません。
評価シートはどのような形でも構いませんが、能登総合病院で使用している評価シートが下記です。厳密な評価ではないため、少しでも疑いがある場合には該当項目にチェックするようにしています。
この評価シートを歯科医師がみれば、どのように介入するか、治療の必要性があるかなどを判断することが容易になります。
そのためには、さまざまな角度から口腔内を診ることが重要になります。
部位別の評価方法も有用ですが、4つのカテゴリー所見別の評価方法も取り入れてみてはどうでしょうか?
この講座を観ることで得られることは…
- 歯科衛生士が、患者の口腔疾病を早期に発見して歯科医師に報告できるようになります
- 口腔観察所見に役立つ4つのカテゴリー分類
- 口腔ケアの際に念頭におくべきアウトサイド・イン・アプローチとインサイド・アウト・プローチとは?
- もれなく口腔を観察して、観察所見を歯科医師に伝えやすくなる『口腔評価シート』
- 口腔評価の際に注意すべき声色と保湿剤
この講座の内容
前編:現状の口腔ケアはそれでいいのか!?
口腔ケアの評価を考える
- 評価が大事
- 口腔ケアの評価
- 部位別評価スコア化 該当しない所見は…
- 「口腔ケア」のざっくり評価
- 目視による口腔観察で!
- きれいな口腔はどっち?
- 誤嚥性肺炎のリスクが高いのはどっち?
- ケア直前、ケア直後
- 口腔自浄サイクルに注目!
- 口腔自浄サイクル(周期)
- 監視は無理!
- 清掃しないと…
- 介入回数を検討
- 口腔廃用
- 唾液・喀痰の誤嚥は防げない!
- 嚥下性肺炎
口腔ケアの読み解き方!
- 口腔ケアの読み解き方
- Outside-in approach
- Inside-out approach
- 脳膿瘍
- 口腔常在菌による感染症
- 隠れ所見
- よく観察しよう
- 汚すぎるとよくわからない…
- 口腔観察所見
- 口腔観察所見のカテゴリー分類
- 清掃観察所見、病的観察所見
- 口腔清掃によって除去できるものは?
- 清掃観察所見
- 汚れの正体は?
- 病的観察所見
- 専門的ケアや歯科治療が必要!
- 歯科医師が求める「歯科衛生士評価」とは!
- 汚れを除去したうえで
- そこから病的観察を評価して
- 疾病状況を歯科医師に伝える
- 疾病所見別評価
- 要治療要素
- 理解・協力
- 確認問題
- 小括
- 所見別評価
- 治療要素
- 全身状態(疾患)や服用薬剤から口腔を診る
- 抗血栓療法
- 抗凝固療法
- 直接経口抗凝固薬(DOAC)
- くすり手帳
後編:潜入動画
要介護高齢者の口腔ケアと観察点
- 症例1
- 診察前の状態確認
- 口腔診察
- 口腔ケア実施状況の確認
- 口腔ケア手技の確認
- まとめ
- 症例2
- 診察前の状態確認
- 口腔診察
- 口腔ケア手技の確認
- まとめ
- 確認問題
- 小括
- 声色をチェックする
- 総括
- 所見別評価
などなど。


M.O. –
口腔ケアの評価について、部位別にスコア化されたOHAT-Jは細かいので判断に迷いますが、ざっくり評価はとても分かりやすかったです。また、疾病の状況の歯科医師への伝え方も参考になりました
C.S. –
自分としては口腔内の診査はしっかり行っていたが、開口時の筋緊張のチェックまでしていなかったので、今後は機能面での評価も加えて行っていきたい
T.M. –
口腔観察の時に、清掃所見だけでなく、病的所見も見落とさないようにしたいです
M.U. –
歯科医師が求める歯科衛生士評価を通して、今後より歯科医師、他職種と連携し患者様お一人お一人に応じた口腔ケアを実施していきたいと思いました
R.D. –
口腔ケアはもちろん大切ですが、全身とのかかわりも考えながら対応しなければいけないのを改めて確認できました