義歯治療だけで終わっていませんか?
訪問診療の依頼で多いのが義歯治療ですが、そこで終わってしまっては往診とほとんど変わりません。要介護高齢患者の多くは口腔機能が低下しているため、継続的な口腔機能管理が重要になります。
ただ、全身疾患や加齢のためにある程度の機能低下はやむを得ないと考えている患者さんやご家族のような場合には、口腔機能管理の必要性を口頭で説明しても受け入れてもらえないことがあります。
そんな時には、義歯治療から口腔機能検査につなげ、客観的データとエビデンスをもとに口腔機能管理に移行する方法があります。
ここでは、新義歯製作からのステップをご紹介します。義歯修理・調整の場合には、点数は付きませんが術前・術後に咀嚼能力を検査することで、ほぼ同じステップになります。
新義歯製作に有床義歯咀嚼機能検査を活用
有床義歯咀嚼機能検査は、有床義歯等を新製する場合に「有床義歯等の装着時の下顎運動、咀嚼能力又は咬合圧を測定することにより、有床義歯等の装着による咀嚼機能の回復の程度等を客観的かつ総合的に評価し、有床義歯等の調整、指導及び管理を効果的に行うことを目的として行うもの」となっています。
グルコース分析装置を用いた咀嚼能力測定または歯科用咬合力計を用いた咬合圧測定を行った場合には、術前に1回、術後は6月以内を限度として、月1回それぞれ140点または130点が算定可能です。
術前・術後の変化が数値で把握できるので、患者さんやご家族も治療に満足してもらいやすくなります。これは義歯修理・調整の場合も同様です。ただし、術後、新義歯が順応するまでの間、数値が低下することに注意が必要です。
口腔機能低下症の診断
要介護高齢患者の多くが、咀嚼機能以外にも舌圧などの口腔機能が低下しているため、咀嚼機能が向上しても、思うように食べられません。
このため、義歯治療後に食事状況を確認して、口腔機能精密検査により現状の口腔機能を把握します。
咀嚼能力検査や咬合圧検査などは、有床義歯咀嚼機能検査と同じ検査装置で実施できます。ただし、口腔機能低下症の咀嚼能力検査などと、有床義歯咀嚼機能検査は、同月に算定できないので注意が必要です。
口腔機能管理の実施
口腔機能精密検査で把握した口腔機能の全ての項目を改善できるのが理想ですが、要介護高齢患者の場合には改善できない項目がありますので、検査数値にとらわれずに患者のアウトカムを考えて、口腔機能管理の目標を設定します。
この目標をもとに、口腔機能訓練や口腔ケア指導などを行なっていきます。具体的な数値目標があれば、患者さんやご家族の意欲も高まります。歯科医院に対する信頼性も高くなることが期待できます。
口腔機能精密検査は、口腔機能低下症の診断だけでなく、義歯治療や口腔機能管理にも有用です。
もちろん、外来患者さんのオーラルフレイルから身体的フレイルへの移行予防にも役立ちます。
訪問診療の依頼の多い義歯治療を皮切りに、口腔機能精密検査機器の配備、口腔機能訓練の充実、スタッフ教育など、口腔機能管理に関する院内システム構築がお勧めです。
この講座を観ることで得られることは…
- 要介護高齢患者の口腔機能管理で成果を上げられるようになります
- 義歯治療から口腔機能管理に移行するためのアイデア
- 口腔機能低下を見分ける2つの指標。口腔機能精密検査対象患者が簡単に見つけられます
- 有床義歯咀嚼機能検査のメリットと注意点
- 患者や家族、他職種への指導に役立つ口腔機能のエビデンスが手に入ります
この講座の内容
オーラルフレイル
- オーラルフレイル 新定義の公表
- いわゆるオーラルフレイル
- オーラルフレイルの概念と定義
- オーラルフレイルのポイント①
- オーラルフレイル概念図 専門職種向け
- Oral frailty 5-item Checklist (OF-5)
- オーラルフレイル概念図 一般市民向け
- OF-5によるオーラルフレイルと要介護、死亡との関連
- オーラルフレイルと身体的フレイル
- オーラルフレイルのポイント②
- 日本老年歯科医学会 オーラルフレイルを知っていますか?
咀嚼運動
- 咀嚼
- 食塊形成モデル
- 咀嚼機能低下の評価法
- 主訴:食べにくい。食べられない。
- 口腔機能の低下
- 咀嚼時間の計測
- 参加者
- 咀嚼時間
- 咀嚼時間に影響を与える因子
- 全被験者の咀嚼回数
- 各生理学的因子と咀嚼回数の相関関係
- リズミカルな咀嚼の進行
- Swallowing Central Pattern Generator
- 若年者と高齢者の自律神経活動の比較
- 咀嚼と高齢者の自律神経活動
- 咀嚼は、食品を噛み砕くだけではありません
口腔機能の検査の臨床での生かし方
- 有床義歯咀嚼機能検査
- グルコース溶出量測定
- 補綴治療の評価
- 口腔機能精密検査
- 口腔機能精密検査における咀嚼機能検査
- グルコース溶出量(mg/dL)の目安
- 結果の解釈
- 補綴治療効果のイメージ
- Case1
- 義歯装着直後は咀嚼機能が低下する
- Case2
- 口腔機能管理により食べられるように
口腔機能精密検査
- 口腔機能低下症の診断 7つの検査
- 口腔機能低下の兆候
- 口腔機能精密検査
- 食べられない ≠ かみ砕けない
- 歯科治療のアプローチ
- 口腔機能検査
- 何を食べられるか 何を食べているか
- 咀嚼機能評価の分類
- 主観的評価
- 摂取食品多様性スコア(DVS)
- 気分の評価
- ゴールの共有にも!
口腔機能管理
- 口腔機能低下症への対応
- 口腔機能低下症の検査と診断
- 歯科治療の本当のアウトカムを考えるのが大切
- 口腔機能低下症の口腔機能管理のゴール
- 目標(ゴール)の設定(イメージ)
- 口腔機能の低下への対応
などなど。


S.I. –
高齢者の自律神経と咀嚼活性化との関係が興味深かった
N.M. –
オーラルフレイルについて考え直す良い機会になりました