プロ向け勉強会用コンテンツ集　口腔ケアらくらく実践法

依頼が途切れない歯科医院　口腔ケア勉強会の秘訣

介護事業所で口腔ケア勉強会を開催したからと言って、介護事業所との信頼関係が構築できるわけではありません。

忙しい介護職員が時間を割いて参加するわけですから、教科書やネットに載っている情報を伝えるだけでは、二度と勉強会に参加してもらえなくなります。

では、介護事業所との信頼関係構築に役立つ勉強会に必要なことは何でしょうか？

【秘訣 その１】 介護職員の隠れたニーズを探る

勉強会のテーマを決める際には「事前アンケート」を取ることは欠かせませんが、事前アンケートだけでは、本当のニーズはなかなか出てきません。

実は、介護職員自身が本当のニーズが認識できていないのです。

例えば、歯科から見ると非効率な口腔ケアも、介護職員はそれが当たり前だと思っていたら、ニーズとして出てくることはありません。せいぜい、「口腔ケアを効率的にやる方法が知りたい」というのが出てくるだけです。

でも、口腔ケアのどの部分を効率的にしたいと思っているかまではわかりませんので、ボヤッとしたテーマになります。

つまり、介護職員の本当のニーズは、日頃の業務や、現場での何気ない質問の中に隠れているのです。それらを歯科の視点で捉えて記録しておけば、それが勉強会のテーマとなります。

実際、大橋デンタルオフィスの歯科衛生士 原田知佳さんも、訪問の際に介護職員から日頃の口腔ケアで噛まれてしまう、口が開けられない、裏が磨きにくいとなどの相談を受けて、その場で実演しているそうです。

そのような何気ない雑談や相談などが、勉強会のテーマになってきます。

【秘訣 その２】 介護職員同士の会話を引き出す

歯科が一方的に説明する勉強会は、本当の意味の勉強会ではありません。それでは講義になってしまいます。

意外かもしれませんが、介護職員同士でさえも上手く情報交換ができていないことも多々あります。ある職員が口腔ケアで上手くいった方法を、他の職員は知らないというようなことです。

例えば、特定の利用者さんの口腔ケアの時だけ上手くいった方法の場合、他の職員に話ことはあまりないでしょう。でも、歯科から見れば、合理性のある方法かもしれません。介護の現場では、そのようなことがゴロゴロしているはずです。

ですから、口腔ケア勉強会では、職員同士の会話を引き出す工夫が必要です。一旦誰かが自らの体験などを話し出せば、他の職員も話をしてくれるようになります。

それに対して歯科の見解を加えることで、共通の知識になります。

なお、正畠歯科医院の正畠先生は、勉強会を座談会のような形で実施し、会話のキャッチボールをしながら介護職員のニーズに答えるようにされています。

それでもなかなか本音が出てこないこともあるので、機会があれば、お酒を酌み交わしながらの“性格のわかる多職種連携”を実施されているそうです。

【秘訣 その３】 勉強会の成果を記録に残す

どんなに素晴らしい勉強会を開催できても、介護職員の記憶は徐々に薄れていきます。また、職員が入れ替わった場合には、同じことを繰り返さなければいけなくなります。

このため、勉強会で得た知識や知恵を記録に残して、介護職員に渡すことが重要です。勉強会で使った資料を渡す歯科医院が多いですが、それとは別に、上記の職員同士の会話から出てきたことなどから、残しておくべきことを簡単にまとめたものです。そこまでする歯科医院はなかなかありません。

介護職員の記憶が曖昧になった時に資料を見れば思い出しますし、新たな疑問が生まれれば歯科医院に問い合わせが来る可能性もあります。

あき歯科医院の加地先生も、口腔ケア勉強会を実施した後に、口腔ケアの手順や用具の使い方を復習してもらうことが大事と話されています。

復習にあたっては、「口腔ケアらくらく実践法」のスライドが役立ちます。

介護職員の本当のニーズがわかっても、口腔ケア勉強会の資料を作成するのは容易ではありません。

その際には、介護職員のニーズに多い「効率よく口腔ケアをする方法」に関する内容をテーマにした勉強会スライド集が役立ちます。

このコンテンツ集を使うことで得られるメリットは…

• 口腔ケアを効率良く行うためのポイントをわかりやすく伝えられるので、介護職員との信頼関係構築に役立ちます
• 図解・イラスト・アニメーションを活用した勉強会が開催できるので、参加者の理解が深まります
• 口腔ケアの際に注意すべき点を「ワンポイントアドバイス」として明示しているので、参加者から喜ばれます
• 効率的に口腔ケアするための5つの「時短ブラッシング」方法がまとめられているので、介護職員の興味を引く勉強会ができます
• 勉強会の開催に必要な資料作成の時間と手間を軽減できます

などとなっています。

このコンテンツ集の収録内容をご紹介すると…

はじめに

• なぜ口腔ケアが必要なのか

Section１　口腔ケアの目的

• 歯周病とは
• 歯周病が与えるさまざまな病気

Section２　口腔に触れる前に

• 介護事業所との口腔連携の強化
• ご利用者さんの口腔の評価を行う
• 口腔の評価 準備と体勢
  • 口腔についての基礎知識① 歯と歯肉
  • 口腔についての基礎知識② 舌と口腔粘膜
  • 口腔についての基礎知識③ 小帯と嘔吐反射誘発部位
• 接遇アプローチのコツ　心構え
• 口唇周り接触と口唇接触の違い
• 噛まれないコツ
  • V字開口法
• 開口させやすいコツ
  • 開口を保持するためのバイトブロック使用例

Section３　口腔の健康状態の評価方法

• 1. 「開口」の評価方法
• 2. さまざまな「歯の汚れ」
• 3. 「舌の汚れ」の評価での注意点
• 4. 「歯肉の腫れ、出血」の評価方法
• 5. 「左右両方の奥歯でしっかりかみしめられる」の評価での注意点
• 6. 「むせ」の評価での注意点
• 7. 「ぶくぶくうがい」の評価での注意点
• 8. 「食物のため込み、残留」の評価での注意点
• 9. 「その他」の評価での評価項目①
• 9. 「その他」の評価での評価項目②
• 10. 歯科医 師等による口腔内等の確認の必要性

Section４　これだけは知っておきたい口腔ケア

• スポンジブラシ
  • スポンジブラシ使用手順
  • スポンジブラシ湿らし方
• スポンジブラシ口腔清拭手順、基本操作
  • スポンジブラシ 基本操作①
  • スポンジブラシ 基本操作②
  • スポンジブラシ 基本操作③
• スポンジブラシ 水分量の調節
• スポンジブラシ代用品
• 口腔清拭シート 使用方法
  • 口腔清拭シート 巻き方
• 口腔清拭シート 基本操作
  • 口腔清拭シート 清拭面の交換
• 口腔清拭シート 基本操作
  • 口腔清拭シート舌、口蓋側、舌側
• 効率よくブラッシングを行うには
  • 時短ブラッシング 上下表側・裏側（前歯部裏側を除く）
  • 時短ブラッシング 動かし方、ブラッシング圧
  • 時短ブラッシング 前歯部裏側（上下）、咬合面（かみ合せ）
  • 時短ブラッシング 動揺歯、残根
  • 時短ブラッシング 最後臼歯（奥の歯）、舌
• ワンタフトブラシ、360度ブラシ
• 口腔ケアのタイミング 食前の口腔ケアの必要性

Section５　口腔ケアの基本と手順

• 口腔ケアの基本
• ステップ1準備
• ステップ2ポジショニング
• ステップ3心構え
• ステップ4口腔清掃
  • 清拭
  • 軟化
  • 除去と回収
• 保湿

Section６　噛まれた時の対処方法

• 噛まれた時の対処方法

Section７　義歯管理

• 総義歯 入れ方
• 総義歯 外し方
• 部分義歯 入れ方
• 部分義歯 外し方
• 義歯清掃
  • 義歯のお手入れ 義歯の紛失防止

Section８　食前の準備体操“藤島式”嚥下体操

• “藤島式”嚥下体操①
• “藤島式”嚥下体操②
• “藤島式”嚥下体操③

さいごに

• 工夫をしても強い拒否がある ご利用者さんへの対応
• ていねいに、やさしい手技を実践する