歯科衛生士とスムーズに連携できていますか?
訪問診療の際には歯科治療と同じくらい重要なことがあります。それは、患者や家族の状況、他職種のアプローチなどを把握し、今後の治療方針・目標を決めることです。
そのために必要なのが、歯科衛生士とのスムーズな連携です。
その一例をご紹介します。脳出血後遺症により、口唇閉鎖が不十分で誤嚥歴もある在宅患者の食事観察の例です。
身体・口腔状況の確認と口腔ケア
歯科衛生士がバイタルチェックと口腔内状況の確認を行い、食事前の口腔ケアを行うます。
この時は、バイタルチェック時に肺雑音が観測されなかったこと、口腔乾燥がいつもより強いこと、咽頭に痰の付着が認められことなどを、後ほど歯科医師に報告しています。
歯科医師による現状把握と情報共有
歯科医師が患者の口唇閉鎖や舌の動きを確認しながら、歯科衛生士から患者の状況報告を受けると同時に、同席しているご家族やケアマネから聞き取りを行います。
歯科衛生士の報告には、前回訪問時からの状況の変化の有無や直前の身体・口腔の状況及び事前に確認しておいた訪問リハビリの内容などが含まれます。
このような他職種のアプローチ内容は、今後の歯科診療の目標設定などにも役立ちます。
食事前の再確認と準備
歯科医師が口腔内の状況を再度確認し、歯科衛生士が食事介助の準備や姿勢調整を行います。
その際、歯科医師はご家族や歯科衛生士から普段のお楽しみ程度の食事量、食事にかかる時間、むせの有無などを確認しています。
食事状況の確認
頸部聴診用のマイクを装着して食事状況を観察します。
この時は食事を進める内に疲労して、嚥下音に変化があったため、歯科医師が食事中に意識すべきポイントを指導しました。歯科医師は、紙コップで食後のお茶を飲む際、紙コップの先端を折ると良いというアイデアも提示しています。
食後に歯科衛生士が口腔清拭を行いました。
目標設定と共有
食事観察の結果、舌の筋力低下の可能性があることをご家族やケアマネに共有し、栄養状態が良く、体重も増えてきたことから、舌の筋力トレーニングを行う目標を設定しました。
訪問診療は、歯科医師と歯科衛生士のチームで取り組むため、互いを尊重して意見を述べ合い、相談できる関係が重要です。
そのような環境であれば、訪問診療で起こる悩みや問題の解決が容易になるはずです。
この講座を観ることで得られることは…
- 日々の業務で生じる問題点への解決のヒントが得られるので、ストレスが緩和され、業務効率が上がります
- 開口困難患者の口腔ケアの対応方法と注意点
- 潜入動画を参考に、歯科医師との連携方法を再考できます
- 業務をスムーズに進めるための多職種連携のポイントと準備
- 歯科衛生士に求められる歯科医師と患者・家族をつなぐ役割。トラブルを回避し、より良い診療ができるので、訪問依頼が継続します
この講座の内容
Part1:口腔ケアの「これで良いのか?」を考える(講義)
日々の口腔ケアで生じる問題点
- 口腔ケアを行う中での悩みとは
- 問題点にどう向き合うか?
- 技術や知識の問題
- 口腔ケアを困難にさせる要因
- 開口困難への対応
- 開口の誘導方法
- 開口困難症例への対応
- 注意すべき「反射」
- 口腔ケアの実際
- 開口困難症例への注意点
コミュニケーションや連携の問題
- コミュニケーションの問題
- 「コミュニケーション」の重要性
- 相手に動いてもらうために
- コミュニケーションの基本は「ラポール」
- 歯科医師とのコミュニケーション
- スピーチロック
- コミュニケーションをとる前提に
- 多職種とのコミュニケーション
- 口腔への関心を引き上げる
- 「信頼関係」の構築に必要なこと
- 誰でもできるコミュニケーション術
- 歯科医師との信頼関係
多職種との連携の難しさを知る
- 忙しくて時間がない
- 職種によって知識が違う
- 無意識に職種間のランクを意識する
歯科の役割〜多職種の視点
- 歯科の役割~多職種の視点
- 連携・協働・共栄
- 多職種から学ぶ
出来ないこと、分からないことへの対応方法
- 自分の中の「わからない」を明確に
- 「何が」必要かを明確に示す
- 苦手意識からの脱却〜教えてもらおう!
- 患者の望む生き方の支援
歯科衛生士的評価に必要な視点
- 歯科衛生士的評価
- 歯科衛生士の役割
- すべては「患者」さんのために
- 歯科衛生士として
- 問題
- 解答
- まとめ
Part2:在宅訪問における口腔ケアや多職種連携の実際(潜入動画)
- 潜入動画について
- これまでの経過
- 潜入動画
- バイタル測定
- 口腔内の確認と口腔ケア
- 歯科医師との同行訪問
- 歯科医師との情報共有
- 姿勢調整・口腔内の再確認など
- 経口摂取の前に
- 食事介助
- 食事中の疲労
- 口腔清拭
- 口唇閉鎖力を補う方法
- 食事介助(デザート)
- 目標設定
- 座位保持装置の紹介
- ケアマネへのインタビュー
- ご主人へのインタビュー
- 歯科医師へのインタビュー
- 問題
- 解答
- まとめ
などなど。
M.O. –
潜入動画では、経口摂取前の口腔ケアの様子や経口摂取の手順や注意点についてわかりやすく学べました。また、ケアマネさんやご家族の方のご意見から、DHとして出来る事は口腔ケアだけではない、職種から学ぶことがたくさんあるという事を今後に活かしていきたいです
M.U. –
今まで苦手としていた開口難の方への対応の仕方や多職種とのコミュニケーションの取り方、考え方について知ることができ、自分自身にとってとても有益なセミナーでした
K.O. –
他職種との連携、知識の共有などこちらが知らない情報や知識を恥ずかしがらず伺うことで学びの機会を失うことなく対応していくということを改めて実施しようと思いました
R.D. –
訪問のときは他職種との関わりが必要不可欠で、歯科医師だけでなく他職種の方から学ぶこともあるということ改めて学びました