訪問診療では摂食嚥下障害患者の誤嚥が怖いと思っていませんか?
訪問診療の患者さんの中には重度の摂食嚥下障害の方がいらっしゃいます。そのような患者さんは誤嚥や窒息のリスクが高くなっています。ですが、重度の摂食嚥下障害の患者さんは少数派です。
訪問診療で多いのは、義歯の不具合や口腔衛生管理不良のため、患者さんやご家族の日常生活に支障が出ているケースがほとんどです。
このため、寺本内科歯科クリニックの寺本先生は、まずは「歯ブラシ1本持ってお出かけください」とおっしゃいます。
寺本先生の訪問診療の症例をいくつかご紹介します。
“5年前に入れ歯をなくしたので作って欲しい”
詳しい状況はわかりませんが、義歯を作って欲しいとの依頼なので、型取りをする準備をして訪問したら、なくしたはずの義歯が口の中に。
5年間も口腔内にあったので、義歯が激しく汚れ、口臭もあり、歯が抜けて残根になっているのが確認されました。
右側にあるのが抜けた歯で、義歯に挟まっていました。
これは極端な例ですが、このように訪問診療では外来診療では思いもよらない状況に出会うことがあります。
それでもやることは、義歯の清掃と口腔ケアです。いきなり残根を抜いたり、印象採得したりするのではなく、今一番優先順位の高いのは何なのかを見つけ出して、それを少しでも改善することです。
施設・在宅でできることをやる
施設や在宅でやることは義歯の修理、簡単な抜歯、口腔ケアの3つがほとんどです。やってできないことはないでしょうが、ロングブリッジの製作や根管治療をやることはほとんどありません。
治療もコンパクトなポータブルとバキュームを使ってできる範囲でやります。また、室内の照明だけでは暗いので窓の近くで治療をするとか、誤嚥しないように頸部前屈位のまま、歯科医師が逆立ちするような格好で治療するなどの現場の状況に応じて、できることをやります。
“先生、嚥下障害の患者さんを診るのは怖くないですか?”
“誤嚥したら、窒息したらどうするんですか?”
寺本先生は「もちろん怖いです。」とおっしゃいます。
その上で「でも、正直に申し上げますが、最後はほとんどの方が食べられなくなって、誤嚥したり、低栄養になったりしてお亡くなりになるんです。」ともお話になっています。
訪問診療では、患者さんのライフステージに即した対応が求められます。
患者さんやご家族と同じスタンスに立って、深く、一緒に悩んで差し上げるのも一つの医療です。
このDVDを観ることで得られることは…
- 寺本先生の実体験が共有できるので、自院の訪問診療の進め方や取り組み方などをチェックすることができます
- 効率的に訪問診療を進めるための秘訣がわかるので、収益性がアップするだけでなく、ストレス軽減にも役立ちます
- 訪問診療の治療計画を立案する際に、最も重要なこと
- 患者さんやご家族、他職種との信頼関係構築に役立つノウハウが手に入ります
- 終末期患者の訪問診療症例を通して、終末期患者対応の勘所が理解できます
などとなっています。
このDVDの収録内容をご紹介すると…
Part1:実際の準備から出発の前に!
- “疾患医療”から“生活医療”へのパラダイムシフト
- 平均寿命と健康寿命の差
- “治らないこともある”からこその医療
- 二度と電話はきません!
- 要介護期間中に図らずも放置されてしまった口腔内
- 典型的な誤嚥のVF
- ではあるのですが、実際は…
- くも膜下出血で倒れ入院していた…
- 寝たきりの方のインプラント埋入例
- ライフステージに即した対応
- 医科、歯科、福祉の受診率
- 要介護高齢者の居場所
- ① 入院患者さん
- 誤嚥性肺炎予防につながる口腔ケアの依頼
- 駿河台病院から歯科病院への搬送
- 摂食嚥下障害患者への歯科疾患治療
- ② 施設での一般歯科治療
- 口腔ケアと簡単な治療がほとんど
- 治療後の嚥下評価は少数!
- ③ 在宅でも…
- 家族や訪問ナースへの口腔ケア指導
- たまにみんなで集まり嚥下評価!
- 当院での依頼内容別割合
- つまり、往診に行ってみると…
- 摂食嚥下障害?VE?などの流れはごく一部でしかない
- 歯ブラシ1本持ってご自宅に伺う 先に待っているものは?
- 唖然とする出来事たち…
- 「入れ歯が合わなくなったので来てほしい」
- 「舌がざらざらして食事ができない」
- 「5年前に入れ歯を無くしたので作ってほしい」
- まず嚥下評価ではなく 歯科治療を!
- 歯科医師会会員へのアンケート結果
- 区民・ケアマネージャへのアンケート調査
- 困っているのに知らないだけ!
- どこから手をつける?
- 習熟度テスト(Part1)
Part2:訪問歯科診療の進め方とその勘所
- ① 訪問診療の依頼はどのように受けているか?
- 訪問歯科診療 申込用紙
- ② どのように1日の訪問ルートを決めているか?
- 円形ルート vs 星形ルート
- 訪問診療を新たに取り入れる場合のオススメ週間スケジュール
- ③ 訪問に必要な器材や準備はどうしているか?
- 7つ道具
- いざ出発! その前の最終チェック
- ④ 現場での集金手続きはどうしているか?
- 今、口座振替システムを導入して3種類の集金法
- 居宅療養管理指導 重要事項説明書兼契約書及び訪問歯科診療同意書
- ⑤ 訪問診療の診療中の流れ(現場での進め方)
- いざ、往診へ!
- 衛生士に口腔ケアを徹底指導して訪問歯科衛生指導として算定
- 診療内容報告書
- 抜歯風景
- ST・PT・OT・ケアマネジャーらとの関わりの中で
- ⑥ 訪問診療後の流れはどうしているか?
- 往診を終え、医院でカルテ記載
- 介護保険が算定できるところ・できないところ
- ケアマネに文書を月1回FAXしています
- いくつかのポイント
- よく起きる討議
- 看取る歯科医療
- 終末期医療とは?
- 症例
- 経過
- 考察
- 嚥下障害の患者さん診るの怖くないんですか?
- お母さん…お願いだから食べて…
- 介護現場では…
- 結果ではなくプロセス
- ハウツー論は語れない
- 自らの身をもって教えて下さっています
- やっぱり大事なこと(私見)
- 習熟度テスト(Part2)
などなど。
I.O. –
セミナーを通じて実際の訪問歯科診療の様子がよく伝わってきました。訪問歯科の果たすべき役割や意義について、深く考えることができる内容でした
M.M. –
全て印象に残る話で、日々、気になっていたことが納得できました
K.Y. –
自分の経験から、治療方針なども試行錯誤しながら一定の方針が固まりつつあります。相容れるものと、そうでないものと知ることができました。今後、本セミナーを参考に、今後の治療方針をさらに高めていきたいと思いました
M.Y. –
訪問診療の実際がわかり易く示されて参考になりました
S.N. –
最初の一歩をあれもこれもやると考えずに「歯ブラシ一つ持って」に感銘を受けました