食支援は敷居が高いと思っていませんか?
訪問診療における食支援では、歯科の専門知識が活かされる場面が多々あります。
例えば、歯の欠損予防と義歯などの補綴治療により、咀嚼機能を改善して食事をより楽しめるようにしたり、口腔内を清潔に保って誤嚥性肺炎などの感染症を予防することで、健康的に食事ができる環境を整えたりすることも食支援の一場面です。
訪問診療における食支援の一場面をご覧ください。
バイタルチェックと同時に全身状態の聞き取り
血圧測定やバイタルチェックの際、前回の訪問以来、変わったことが無いか、現状、困っていることが無いかなどを聞いていきます。
食事観察
普段食べている食材を出していただき、その様子を見ていきます。
この時、普通のご飯とゼリーを交互に食べていただく様子や一口量、口腔内の残留の有無などを観察していきます。
ご本人の希望で薄いとろみのお茶で嚥下スクリーニングテスト
誤嚥防止のために1.0%濃度のとろみを付けたお茶を飲んでいましたが、ご本人が飲みにくいとおっしゃっていたため、0.5%濃度の薄いとろみで嚥下スクリーニングテストすることにしました。
普段使用している湯呑みで飲んでいただき、誤嚥の有無は頸部聴診法で実施しています。
誤嚥も無く、嚥下後の湿性嗄声も無かったので、薄いとろみで様子を見ていくことになりました。
患者さんの困り事に対応
普段の食事の際、ご家族に見守りをお願いしていますが、患者さんご本人は、ご家族から一口量や食べる速さなどを注意されるのが嫌だったようです。
歯科医師からも見守りの必要性を説明すると同時に、再度誤嚥性肺炎を発症すると、また食べられなくなることを諭して、ご納得いただきました。
食支援は、必ずしもVEや栄養状態の評価や食事指導などができないといけないわけではありません。歯科の専門知識だけでも、患者さんの“食べる”を支援することができます。
食支援をさらに一歩進めるには、他職種との連携が重要になります。
食支援に携わることは、他職種の知識や知恵を学べる絶好の機会ですし、そこで得た知識や知恵は、さまざまな訪問診療の現場で役立ちます。
積極的に訪問診療における食支援に携わることをお勧めします。
この講座を観ることで得られることは…
- 訪問診療における食支援の進め方と注意点が理解できます
- 歯科が食支援に介入する際に考慮すべきこと
- 在宅患者の食支援の症例をもとに多職種連携の進め方とポイントがわかります
- 患者や家族の意向を踏まえた“食べる”への介入方法
- フードテストや舌訓練の潜入動画があるので、訪問診療における食支援のイメージがつかめます
この講座の内容
Part1:在宅医療に必要な食支援について
- 在宅医療に食支援は必要か?
- 自宅での食事が再開できるか?
- 在宅医療に必要な食支援
- 歯科領域が得意な食支援の場面
- 口腔清掃不良、顎骨壊死、咬合支持喪失
- 食事指導(嚥下内視鏡検査)
- 食支援チームとの連携
- 食支援に必要なリスク管理
- 摂食嚥下障害への対応
- 嚥下機能のスクリーニングテスト
- 嚥下訓練中の患者(基礎訓練のみ)
- 普段の食事でむせやすい患者
- VE画像・所見
- 後方支援病院との連携
- 食支援での連携事例
- 管理栄養士との連携
- 食支援での連携事例
- 連絡帳
- 訪問医・訪問看護ステーションとの連携
- 口腔ケアの依頼を受けた症例
- まとめ
- 習熟度テスト
Part2:訪問診療での食支援の症例紹介(潜入動画)
潜入動画①
- 83歳男性 脳血管疾患後遺症(右被殻出血)
- 嚥下機能評価(スクリーニング)
- 嚥下訓練
- フードテスト
- 嚥下機能について(経過)
- 手洗い
- 血圧測定・バイタルチェック
- 食事観察
- 口腔内の残留チェック
- 頸部聴診
- 患者の困りごと ヒアリング
- まとめ
潜入動画②
- 61歳男性 筋強直性ジストロフィー
- VE画像・所見
- 指導内容
- 経過
- 舌圧測定
- 舌圧訓練
- 管理栄養士、患者、家族とのやり取り
- 習熟度テスト
- まとめ
などなど。
I.O. –
患者様のご家族から日頃のお食事について情報を収集している様子が印象的でした。とても良い関係性が築かれていると感じました。今後の診療に大いに参考にさせていただきたい内容でした
S.N. –
患者さんに毎日楽しくお食事をしていただくには、ご本人様やご家族様のご意向を汲み取り、多職種の力を借りながら進めていくことが大切だと、動画をとおして感じられました。患者さんとのお話のやり取りにも心が和みました
T.M. –
多職種と連携し、歯科は特にスクリーニングテストを元に食事の質の向上をお手伝いでき、それが食べる楽しみに繋がることをより実感しました
R.D. –
栄養士さんとの連携の具体的な仕方を実際に見ることができ参考になりました。食形態や嗜好について本人も交えて話し合えるのが今後の食につながるので参考になりました
M.O. –
連携事例と潜入動画の説明がわかりやすかったです。機能訓練の動画では、実際にペコパンダを行っている動画もとても参考になりました