第3世代セフェム系抗菌薬 効果が低い証拠
糖尿病患者などの抗菌薬として、第3世代セフェム系抗菌薬であるフロモックス、セフゾン、メイアクトといった薬剤が使われています。
ですが、第3世代セフェム系抗菌薬は、大半が吸収されずに排出されてしまうため抗菌薬としての効果が低いことが明らかになってきました。
このため、日本科学療法学会や感染症学会等では、第3世代セフェム系抗菌薬は感染対策の抗菌薬としては投与しないように言われています。
公立八女総合病院の松村先生も講座の中で、第3世代セフェム系抗菌薬は感染対策の抗菌薬として投与しないことを勧めています。
驚愕! 抜歯した方が顎骨壊死の発症率が低下する
骨吸収抑制剤投与患者で問題になるのが薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)です。
抜歯などの外科的侵襲や外傷、義歯の傷等はMRONJの危険因子の一つではありますが、その他にも炎症やステロイド治療・糖尿病などの易感染性状態、薬剤による血管新生による創傷治癒の抑制なども挙げられています。
このため、顎骨壊死を避けたいからと抜歯を避けていくのは少し正しくありません。
MRONJの発症機序には歯性感染症が大きく関わっていることがわかっており、近年の研究で、本来抜歯が必要な歯を温存すると顎骨壊死発症率が有意に増加することが明らかになりました。
このため、感染源となる歯があるなら早急に抜歯との対応する必要があります。
また、骨吸収抑制剤投与患者の場合には、抜歯等を行わなくても、定期的に歯科による口腔管理が重要になります。
指示が通らない認知症患者の抜歯後止血アイデア
抗血栓薬を服用している患者の抜歯などの観血的歯科治療では、出血リスクを最小限にすると同時に、出血した場合に備えることが重要です。
出血した場合には、肉芽や血餅を除去し、出血点を確認してピンポイントで圧迫止血しますが、指示が通らない認知症患者などの場合には、ガーゼを噛んでおいてもらうことが困難になります。
その際に役立つのが止血シーネです。術前から止血シーネを準備しておけば、持続的な圧迫が可能です。
抜歯後に出血した患者に作成した止血シーネの症例がこちらです。
このDVDを観ることで得られることは…
- 安全な歯科治療に必要な全身疾患と薬剤の知識が得られるので、適切なリスク管理方法が身に付きます
- 抗血栓薬を休薬せずに抜歯する際の3つの注意点
- 自己免疫疾患患者の治療で主治医と連携する際に知っておくべき知識が得られます
- 抗血栓療法患者の観血的歯科治療で注意したい3つのポイントと抜歯窩に応用しやすい止血材料の使い方
- 骨吸収抑制薬使用患者の抜歯における注意点と顎骨壊死発症を防ぐために最も重要なこと
などとなっています。
このDVDの収録内容をご紹介すると…
Part1:歯科治療時に注意したい全身疾患について
糖尿病
- 年齢別の糖尿病罹患率
- 糖尿病
- 2型糖尿病治療の流れ
- 血糖コントロールの目標値
- 観血的歯科治療が可能である指標
- 高齢者糖尿病診療ガイドライン
- 手術部位感染(SSI)の高リスク因子
- 吸収率の低い第3世代セフェム系抗菌薬
- 糖尿病患者さんの歯科治療において注意したいポイント
- 高齢者は特に低血糖発作に注意が必要!
- シックデイとは
慢性腎臓病
- 慢性腎臓病 (CKD)とは
- 腎機能の指標
- 慢性腎臓病 (CKD)の重症度分類
- 抗菌薬処方について
- 腎機能低下時に減量が必要な抗菌薬
- 腎機能障害に対する抗菌薬減量のめやす
- 鎮痛薬処方について
- NSAIDsは、さまざまな機序で腎機能障害をきたす
- アセトアミノフェンは効かない…と思っていませんか?
- 血液透析について
- 透析中に用いられる抗凝固薬
- 透析患者への抗菌薬投与
- 腎機能障害患者さんの歯科治療で特に注意したいポイント
肝機能障害
- 肝臓の働き
- 肝機能障害の原因
- 肝機能障害の進行
- 肝機能障害の指標
- Child-Pugh (チャイルド・ピュー) 分類
- 肝機能障害患者さんの歯科治療で注意したいポイント
- 肝硬変に伴う出血傾向
- 薬剤使用について
- ウイルス性肝炎対策
- 食道静脈瘤
- 習熟度テスト
Part2:歯科治療時に注意したい服用薬剤について
抗血栓薬
- Anti-thrombotic drugs
- ワルファリンカリウム
- 抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン
- ワルファリンカリウムはいろいろな因子の影響を受けやすい
- PT-INR測定の必要性について
- PT-INR が延長しやすい条件
- 血液凝固分析装置
- DOAC (経口直接抗凝固薬)
- 抗血栓療法中の抜歯に際して抗血栓薬の休薬はしない
- 口の中は見えるので直接止血をしましょう
- 事前にリスク評価をして対策を考えておく
- POINT 1 :出血リスクを最小限にする
- POINT 2 :出血した場合に備える
- まずは出血点確認+圧迫止血!
- 抜歯窩に応用しやすい止血材料
- 止血シーネの準備を行うことも考慮する
- POINT 3 :術前に十分に IC をしておく
- 抗血栓療法中の観血的歯科治療で注意したいポイント
骨吸収抑制薬
- 骨粗鬆症治療薬
- ビスフォスフォネート製剤 (BP)
- 抗RANKL抗体 (Dmab)
- 骨吸収抑制薬が投与されることが多い疾患
- 薬剤関連顎骨壊死
- MRONJの診断基準
- MRONJはさまざまな原因で発症する
- MRONJの発症機序
- 本来抜歯が必要な歯を温存すると顎骨壊死発症率が有意に増加
- 歯性感染症が原因でMRONJは発症する!
- BMA投与前の予防的抜歯基準
- MRONJのリスク因子
- 骨吸収抑制薬投与中は歯科での定期的な口腔内管理が重要
- 顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023
- BP製剤、抗RANLK抗体ともに休薬必須とはされていません
- プラリア、ランマークは休薬を依頼してはいけません
- 骨吸収抑制薬使用患者の歯科治療について
副腎皮質ステロイド製剤
- 自己免疫疾患における治療の流れ(例)
- 自己免疫疾患とは
- 主な自己免疫疾患
- ステロイドの副作用と発現時期
- 手術部位感染 (SSI) の高リスク因子
- 口腔カンジダ症
- ステロイド性骨粗鬆症
- ステロイド性骨粗鬆症の治療
- 副腎クリーゼ (急性副腎不全)
- 自己免疫疾患患者さんの歯科治療に際して注意したいポイント
- リスク管理を行いながら歯科治療にあたる
- 習熟度テスト
などなど。
M.A. –
日常の臨床でもよくみる全身疾患について歯科治療時に注意すべきことを改めて勉強できとても有意義でした。またセフェム系第3世代は抜歯前後によく投与していたのですが、あまり効果がないことを知り驚いたとともに、安易な抗生物質の使用は耐性菌の発生を招くことに注意していかなければならないと痛感しました
K.M. –
私にとって薬剤関連は苦手とするところ。持病と服用中の薬剤に関して曖昧な感覚で抜歯などにおけるリスクを正確には把握しきれていませんでした。今回の内容は訪問診療のみにかかわらず外来でもとても有意義な講座でした
M.I. –
糖尿病のリスクのある患者さんに、抗菌剤を術前投与するのは聞いたことがあったが、第3世代が吸収されないので、投与しない、AMPC、CLDMを選択するということを理解した。クラビットに低血糖を起こす作用があることを知り、最近抗菌剤不足でクラビットを処方することもあり、患者さんが糖尿病かどうかをしっかりチェックしてかなければならない思った
R.M. –
全身疾患、特にB P製剤に対する認識に対する知見については、古い認識であったので大変参考になりました
R.M. –
訪問だけでなく、臨床の場に来られる患者さんにもしっかり考えた投薬、処置ができると思います。糖尿病の患者さん、骨粗鬆症の患者さんも多い昨今、心して投薬していくようにしたいと思います