口腔衛生管理の依頼が途切れない訪問歯科衛生士の秘訣
訪問診療においては口腔衛生管理が重要なことは言うまでもありません。その口腔衛生管理の重要な役目を担うのが歯科衛生士です。
訪問診療の口腔衛生管理に携わる歯科衛生士には、専門的口腔ケアや口腔リハビリ以外のさまざまな知識や技術が求められます。
その中でも特に重要なのが、他職種との連携の仕方です。
いつ誰に何を伝えるか?を常に考える
同じことを助言・指導するにしても、その時のタイミングや伝え方によっては、相手の受け取り方も変わってきます。
例えば、介護職員から「ケアの時いつも出血するんです」と言われたら、「ちょっとどこか教えて」という感じで、一緒にその口腔内の状況を見て、どんな風に歯ブラシ当てるかを見ます。
「こういう形で歯ブラシを当ててみて、これくらいのブラッシング圧にしてみたらどうかな?」とかという風に、その場でできるこというのを考えながら伝えていくことで、その介護職員にはその情報が根付くことになります。
相手自分の感覚だけで話すと伝わらない
相手に伝えたいことを伝えるのは難しいことです。自分と相手では言葉の理解度や感じ方などが違うためです。この差はなかなか埋まらないので、諦めずに何度もトライすることも重要です。
場合によっては、一度距離をとってみたり、別の機会に話してみたりすることも必要になります。
できる限り、食事介助や口腔ケアの場面に立ち会う
例えば、施設の介護職員が食事介助や口腔ケアを行う 場面に立ち会うことで、介護職員に直接アドバイスすることが可能になります。問題解決に繋がりやすく、助言したことが実行可能かをその場で確認することができます。
実行不可能な助言は、相手にとって迷惑にもなりかねません。そうなると、次からは助言を聞くこともなくなってしまいます。相手の立場になった助言・指導をすることが重要です。
現場の口腔健康管理では、教科書通りの助言・指導しているだけでは上手く行きません。相手の立場や状況を勘案した発想の転換や工夫が求められます。
そのような発想の転換や工夫ができるようになるには、口腔機能などの基礎的な知識に加えて、さまざまな対応例を知って、引き出しを多く持っておくことが必要です。
この講座を観ることで得られることは…
- 施設における食事観察や口腔ケア指導の実際がわかります
- 患者・家族や多職種から信頼され、頼りにされる歯科衛生士がやっていること
- 口腔ケア以外に身に付けるべき知識と技術
- 他職種と協働して結果を出すために必要な心構えと考え方がわかります
- 相手に受け入れてもらいやすくなる「伝え方」のポイント
この講座の内容
Part1:講義
「口腔機能」とは
- 口腔機能
- 「歯」だけでは食べられない?
- どんな物を食べているのか
環境要因が口に与える影響とは
- 食べる意欲の背景要因とメカニズム
- 「機能」と「意欲」を左右する要因
- 「心身」と「口腔機能」
- 「食べる」を理解する
- 「食べる」ってどういうこと?
「歯科衛生士的評価」
- 「食べる」口に必要な条件
- 全身管理~目に見えない情報を読み解く
- 口腔機能を管理する
- 口腔機能低下症への対応
多職種が求める歯科的情報
- 訪問現場の特徴
- 「何」を求められているのかを知る
- 現場で必要になる「知識」と「技術」
- 「ニーズ」と「デマンズ」
- 「食べる」を支えるチームアプローチ
- 歯科医師との連携
多職種の口腔への対応
- 多職種からの疑問にどう対応するか
- 「歯科用語」の使い方
- 例えば「呼吸」との関連
- 呼吸介助方法
- 歯科用語の理解
- 多職種とのコミュニケーション
「口腔機能」を伝えるポイント
- いつ誰に何を伝えるか
- 何を「伝える」のか?
- 相手に「伝える」難しさ
- 現場に溶け込むポイント
- 「口腔ケア」を伝える
- 訪問歯科衛生士に求められるもの
- 症例から学ぶ
- 経過
- 多職種連携の結果
- 医療人として求められること
- 問題
- 解答
Part2:潜入動画編
- 実際の食事
- 左手前のネームプレートに食具のメモ
- 介護スタッフによる食事介助
- 介助方法はすでに指導済み。和田先生は見守りとチェックを実施
- 口が開かない時の対応方法
- 目を開けて食べる
- 飲み込まない時の対応
- 食べやすいように、スプーンひと口分を潰してから口へ運ぶ
- ミーティングでその後の介助方法を申し送り
- 食後の歯磨き(全盲の方 ご本人が実施)
- 和田先生によるチェック
- 歯ブラシや歯間ブラシの劣化具合
- 介護スタッフによる口腔ケア
- 食後の歯磨きは、介護スタッフが実施
- なるべく口の中の残渣を減らしてもらう
- 飲めるのであれば水分補給
- むせてしまった利用者さんの確認
- 「目を開けて」の呼びかけ
- 姿勢調整
- 頭の後ろにタオルを入れ、飲み込みやすい姿勢を作る
- 和田先生による口腔ケア
- 舌が沈んでしまうときは、顎を抑えると良い
- 介護スタッフによる口腔ケア
- 介護スタッフによる仕上げ磨き
- 「グチュグチュ」が小さくなりがち
- 問題
- 解答
などなど。
H.W. –
先生からの「伝える」とは「根付かせる」こと!が心に響きました。伝えたい想いは何か?何のために伝えたいのか?ここを意識しコミュニケーションをとりたいと思います
T.M. –
実際の症例や、2つ目の動画のような実際に介護士と連携した口腔ケアはとても興味深く、見ていてすごくためになりました
K.O. –
口腔の3大機能の中で「呼吸」の視点が希薄だったことに気づかされました。気管切開後の人工呼吸器や在宅酸素療法の患者様以外にも、口腔機能の1つとしても呼吸について、今一度考えてみたいと思います
M.U. –
今まで教わる機会の少なかったミールラウンドについても知ることができたり、難しい他職種の方への伝え方などを学ぶことができ、とても意義のあるセミナーだと感じました
M.0. –
ほとんどミールラウンドに立ち会う機会がないため、潜入動画で実際に食事介助や食後の歯磨きと指導の様子が観れた事が一番印象に残りました。これまでに施設に口腔ケアの訪問時に職員さんから、「食事中に寝てしまう」「口を開けてくれない」「むせやすい」等の話をお聞きする事がありましたので、とても参考になりました