障害者歯科診療の方法
非協力的な患者さんを協力的にすることができれば、安全な歯科治療が可能となります。また、対応するスタッフも少数で済みます。このように、患者さんの行動を変えることは「行動調整」と呼ばれ、様々な方法があります。患者さんの障害、発達レベルに応じて適切な行動調整法の選択を行う必要があります。
基本的な行動調整法は次の通りです。
- 通法
通法とは、薬物や人手による抑制を用いずに、コミュニケーションを確立させたうえで行うもので、主に健常者に対して行われる対応法です。一定の発達レベルと術者との信頼関係が維持されていることが条件です。 - 教育的対応(トレーニング)
- TEACCH:言葉を媒体としたコミュニケーションが困難な自閉症患者は視覚優位のため、情報を目で見える形で伝える(視覚構造化)必要があります。具体的には、絵や文字、写真を使ったカードや実物を掲示することです。
- 行動療法:不安や恐怖感などの情動反応をコントロールする「不安軽減法」と人の行動をコントロールする「行動形成法」があります。
- TEACCH:言葉を媒体としたコミュニケーションが困難な自閉症患者は視覚優位のため、情報を目で見える形で伝える(視覚構造化)必要があります。具体的には、絵や文字、写真を使ったカードや実物を掲示することです。
- 精神鎮静法
薬物や麻酔などを使って、患者さんの精神を安定させる方法です。
このDVDでは、歯科診療でよく見かける11種類の障害について、その概要と具体的な対応法をわかりやすく解説しています。
<11の障害>
- 知的発達障害(精神遅滞)
- 発達障害
- 自閉症スペクトラム障害
- ダウン症候群
- 脳性麻痺
- 脳血管性障害
- 高次機能障害
- 認知症
- 精神障害(精神疾患)
- てんかん
- 難病
「障害者の特徴と対応法」DVDの収録内容の一部をご紹介すると…
Prat1:障害者の特徴を理解する
- 障害者の概要
- 障害者とは
- 障害者の人口
- 障害者の種類
- 身体障害
- 知的障害
- 精神障害
- 障害者の福祉
- これだけは知っておきたい障害の種類
- 障害者の種類別特徴
- 知的発達障害
- 知的障害の程度別の分類
- 知的障害の原因
- 知的障害の特徴
- 発達障害
- 自閉症スペクトラム障害
- 自閉症スペクトラム障害の特徴
- ダウン症候群
- 脳性麻痺
- 脳性麻痺の分類
- 脳血管性障害
- 高次機能障害
- 認知症
- 認知症の特徴
- 認知症の症状
- 精神障害
- 精神疾患を有する総患者数の推移
- 精神疾患とは
- 内因性精神疾患
- てんかん
- てんかん発生の分類
- 難病
- 指定難病とは
- 知的発達障害
Prat2:障害者への具体的対応法
- 「障害者」の診療を行う際に困った事は、何ですか?
- 行動調整法
- 対応法:知的障害
- わかりやすく伝える
- 定期検診絵カード
- 自信をつけさせる
- 適切なポイントで褒めてあげる
- 曖昧な表現は使用しない
- 自閉症の特徴を考慮した対応法
- わかりやすく伝える
- 対応法:脳性麻痺
- ボバース体位(異常姿勢反射抑制肢位)
- 対応法:精神障害(精神疾患)
- 話を最後までよく聞く
- 伝える時は、はっきりと簡潔に、わかりやすく
- 子供扱いしない
- 対立や言い合いを避ける
- できたことをほめる・感謝する
- 批判的になり過ぎない
- あせらない/本人のペースを尊重する
- 本人ができることは任せる
- 静かで穏やかな雰囲気を作る
- 巻き込まれ過ぎない
- 対応法:認知症
- 認知症の方への対応で困った事 (質問)
- 認知症の方への対応で困った事 (回答)
- 対応法:てんかん
- 発作中にしてはいけない事
- 発作の記録と観察を行いましょう
などなど。
このDVDを観ることで得られることは…
- 11種類の障害の特徴とその対応法がわかるので、障害者の歯科診療時に慌てずに対応できるようになります
- 「この患者さん、もしかしたら障害者の方かな?」と思った時、患者さんや介護者に失礼なく、障害の有無を聞き出す方法がわかります
- 障害の程度を確認して、どのようなリスクがあるかを推定する方法
- 知的障害者の主な6つの特徴。予めこの特徴を知っていれば、患者さんと上手に意思疎通ができるようになり、安全な歯科診療実施の助けになります
- 自閉症患者の強いところと弱いところ。これらを知っていれば、患者の状況を観察して診療方針を立てることができるようになります
- ダウン症患者は、様々な合併症を起こしている可能性があります。どんな合併症の可能性が高いのかを知っておけば、歯科治療に伴うリスクを推定することができるようになります
- 行動調整法である「TEACCH」や「カウント法」の具体的な事例があるので、自閉症や精神障害の患者さんでも安全に、素早く歯科診療ができるようになります
- 知的障害者に適切に対応できるようになる4つのポイント
- 脳性麻痺の患者さんに安全な歯科治療を行うために知っておきたい「ボバース体位」。治療時の患者さんの不意の動きによる危険を回避できるとともに、本人も落ち着く姿勢なので、治療中の苦痛を軽減できます
- 精神障害者の対応で注意すべき10項目
- 歯科治療中「てんかん」発作が起こった時の注意点と確認・記録すべきこと
などとなっています。
Y.S –
障害にはたくさんの分類があり、それぞれに特徴があって対応の仕方が異なることが分かりました。
Y.K –
障害を持った方への口腔ケアでどう対応するべきかわからない部分があったので勉強になりました。
S.H –
知的障害者の方の診療の進め方 配慮がわかりました。
A.M –
永六輔さんの言葉 「世の中の人は、二つに分かれる。障害を持つ人とこれから障害を持つ人である」がとても印象的でした。障害者を特別視するのではなく、だれでもそうなる可能性があるし、対応できるようにならなければならないと感じました。障害者全体のことを分かりやすく分類し特徴を教えていただき大変参考になりました。またその対応法は健常者にも応用できることが多々ありとても勉強になりました。
N.N –
大変詳しく教えて頂き、障害者でない方でも、訪問診療に参考にさせて頂きます。
R.K –
複数の種類の障害があり、それぞれの特徴を理解した上で対応することで患者様が安心して治療が受けられるので今回もとても勉強になりました。特に具体的対応法でのTEACCH(絵カード)活用したいと思います。
T.M –
症状別の対応の仕方がよく分かりました。細かい説明でわかりやすかったです。ありがとうございました。
F.M –
障害者をお持ちのご家族様より、自分も高齢になり、遠方の歯科口腔外科に定期健診で通院するのが大変になってきたと、お話されたことがあります。一般歯科で対応するのが難しい治療もあると思いますが、定期健診や、簡単な充填は一般歯科でも対応できるようになれば、ご家族様も、病院の負担軽減にもつながると思いますので、今後もよりうまく対応できるように今日のセミナーを明日からの臨床に生かしたいと思います。
A.N –
とても分かりやすくまとめられていました。普段、障害者や小児への対応で、治療中何人もの人が囲い、声をかけていました。安心してもらえるためにしていたことが実は患者さんをパニック状態にさせていたという事が分かりました。対応として声掛けを行う人を決めて行うことをスタッフ一人一人が気をつけていきたいと思います。
M.K –
それぞれの障害者への対応法。当院にも、軽い障害者が来院するが、テレビの音を嫌がったりする意味がわかりました。
Y.Y –
患者対応例 障害や認知症の特徴
M.O –
障害者の特徴が復習出来てよかった。
G.M –
障害ごとの対処法が詳しく説明されていて、分かりやすかった。
S.K –
現在訪問診療にて、認知症の方の暴言にとても悩んでいたので実際の対応を勉強でき、参考になりました。良かれと思ってしていた励ましや、治療がうまく進められない焦りや苛立ちが本人に伝わっていたのだと思うと申し訳ない気持ちになりました。認知症の特徴を理解したうえで接する事が必要であることを改めて感じました。
H.I –
知的障害者の症状と対応について詳しく知ることができた。
Y.Y –
自閉症の患者さんの治療を行う前の絵カードの使用方法が実際の動画で分かりやすかったです。