「ヒヤリ・ハット」とは
「ヒヤリ・ハット」とは、『1件の重大災害(死亡・重傷)が発生する背景に29件の軽傷事故と300件のヒ ヤリ・ハットがある』という警告として、安全活動の中で多く採り上げられる言葉です。
訪問診療は、すべてが応用編といわれていますが、経験豊かな先生方の体験談や実践的アドバイスがあると、 とても心強いものになります。
日本訪問歯科協会では訪問診療での重大な事故を防止するため、全国で開催しているブロック研修会でヒヤ リ・ハットの事例検討を重ねてきました。本書は、そのポイントを多くの訪問診療に取組む歯科医療従事者 の方々と共有する目的でつくられたものです。
第Ⅰ部電話対応1
- 高齢者から要領を得ない電話がかかってきた…相手の言っていることが分からない
- 訪問診療対象外の患者さんを受け付けてしまった
- デイサービスで治療をして欲しいと往診の依頼があった
- 「なぜ勝手に治療したのか」と家族からクレームの電話があった
- ケアマネから「お金を盗まれたと患者さんが言っている」と電話があった
- ケアマネから「往診日についてなぜ事前連絡がないのか」とクレームがあった
- ショートステイの患者さんへの往診依頼があった
- 情報提供書を送ったら、「歯科医院がなぜFAXを送ってくるのか分からない」とケアマネから質問が あった
- 歯科衛生士の居宅療養管理指導は具体的に何をしているのか、必要なのかと質問があった
- コラム(たった一言が人の心を傷つける)
- コラム(外来アポと訪問アポの違い)
- コラム(介護現場の基礎知識)
第Ⅱ部訪問のための移動のときに
- 訪問診療の可能範囲外だった
- 訪問したら留守だった
- 道順が分からず遅刻した
- 1分遅れたらクレームになった
- 忘れ物をした(治療器具、薬剤)
- コラム(駐禁切符を切られて大赤字に!)
- コラム(常に備えよ!)
第Ⅲ部訪問先で
- ヘルパーから「口腔ケアは自分たちがするので必要はない」と言われた
- 独居の患者さんだった
- 認知症の患者さんだった
- うつ病の患者さんだった
- 感染症の患者さんだった
- なぜ介護保険を使うのか理解してもらえない
- 一部負担金を支払ってくれない
- 介護保険を持っていないとウソをつかれた
- コラム(困る前にケアマネに確認しよう)
第Ⅳ部緊急トラブル対応1(治療に入る前に)
- 車いすの背もたれを急に倒してしまった
- ベッドから、いすに移動させるとき怪我をさせた
- エンジンを落として、患者さんに怪我をさせた
- 患者さんが口を開けてくれない
- 指を噛まれた
- コラム(訪問治療は機材が命)
- コラム(きちんと理解されるインフォームドコンセントを)
第Ⅴ部緊急トラブル対応2(直前〜治療中に)
- コンセントが全て塞がっていて使えない
- コンセントを抜くとき壁ごと剥がしてしまった
- 誤嚥・誤飲トラブル1(リーマーを飲み込ませた)
- 誤嚥・誤飲トラブル2(印象材を飲み込ませかけた)
- 落下トラブル(リーマー、クラウン、インレーを落とした)
- 抜歯後、血が止まらない
- 薬液をこぼしてしまった
- 粉塵が散らかるとクレームになった
- インプラント治療を在宅で依頼された
- コラム(oneofthemとoneofone)
- コラム(トラブルを起こした後は…)
第Ⅵ部モンスター患者(施設)対応
- 言葉の暴力を受けた
- 歯科衛生士がパワハラ・セクハラを受けた
- 主治医の連絡先が分からない
- 治療費の支払いを拒否された
- コラム(本当に怖い家庭)
第Ⅶ部訪問歯科の事務が分からない!(事務編)
- 訪問歯科診療の保険点数について
- 在宅療養支援歯科診療所の施設基準について
- 連携保険医療機関について